ここではモノが感じる、人とヒト、人とモノのお話を紹介します。
動物売りの絵本で、フラミンゴ、ヤマアラシ、アルマジロ、コウモリ、ムカデの順に登場していきます。ページをめくる事に新しい動物が出てきて、「~ はいかが?」っと動物売りが言っています。 でもお客さんには「だめだよ。~ になってしまうよ。」っと返されてなかなか売れない。。そこで最後は悪さもしなくて手もかからない・・・・鳥の丸焼きを。。。
これはブルーノムナーリの作品で
「il venditore di animali 」という絵本です。ユーモアがあり、ページをめくる事に表現されているその様子は、視覚でも楽しめる作品になっています。その「il venditore di animali 」の拡大版などがエントランスにあり、入ってきた僕たちをムナーリの世界に引き込んでいくようでした。
場所は大津市瀬田にある滋賀県立近代美術館。そこで5月31日~7月6日までの間、ブルーノムナーリの生誕100年を記念した展覧会が開催されていました。
絵本やグラフィックデザイン、プロダクトデザインや彫刻など様々な場面で活躍したムナーリは、絵本を違う視点から表現することに力を注いでいた人だったそうです。挿絵は一場面を切り取って説明するだけで『言葉』によって表現されていた絵本を、あらゆる視覚表現を使って、視覚イメージの連続によって物語を構成することを試みていたそうです。
重なり合うだけで違う表情に見えて、またそれを少し動かすことによって絵の表情が動き出し命が吹き込まれたかのように感じる「guardiamoci negli occhi」や、イタリアでは古くから日常的に使われている手による会話を、フォークに代わりに語らせる事により、フォークというモノに命を吹き込んでいるように感じる「Le Forchette di Munari」。
ムナーリの作品に触れることによって、「芸術は難しいものではなく、心を豊かにしてくれるものである。」というムナーリの言葉の通り、僕達に芸術を身近に感じさせてくれて、優しい気持ちにさせてくれるモノだったように感じました。
展示している滋賀県立近代美術館も、横には日本庭園や茶室、それに広い野原などもあり心地よい場所でした。その野原の片隅で、一人の女の人がフルートを吹いていたのですが、その音色は野原全体に響き渡り、なぜか懐かしくも新しくも感じました。好きなことを好きな時に好きな場所で。その女の人は今のこの時間を本当に楽しんでいるんだろうな・・・
っと勝手に想像しながら少しの間その綺麗な光景を見ていました。
独創的で夢とユーモアの感じる作品を世に送り出したブルーノムナーリ。
また、大人も子供も関係なく夢中にさせるムナーリ・ワールドの魅力を、気持ちよくさせる環境で展示している滋賀県立近代美術館。
心地よい時間の中で芸術を身近に感じ優しい気持ちにしてくれる そんなモノのある場所でした。