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ここではモノが感じる、人とヒト、人とモノのお話を紹介します。

岡山

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岡山県にある倉敷はもともと「蔵屋敷」から名をとったとされ、美観地区と称される地域一帯は、江戸時代に栄えた姿を留めた古きよき街並みです。
       
大阪からは約1時間。でもそこは全くの別空間でした。
      
まず向かった宿は、「全てに置いて東町の心ゆきを感じて頂けるでしょう」という言葉にも頷ける、明治時代からある建物は倉敷の町に溶け込んでおり、泊まらせてもらった部屋からは庭園が広がっていて、とても贅沢に過ごせました。
宿を出る時にとてもいい時間を過ごさせてもらったことをお礼を言うと「ぜひまたいってお帰りなさいませ」と見送って頂きました。

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美観地区はとてもアートな町でした。日本初の西洋美術館である大原美術館は巨匠とされる芸術家達の作品がたくさん展示され、何より私は、大原美術館の迫力ある門構えに圧倒されました。他にも5分もあれば全体を見て回れるその地域には、昔の姿を残したままの建物が当たり前の様に並んで、そうでないことに少し疑問を感じたくらいです。

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帰りには一番のお目当てだった岡山の駅近くにある禁酒会館に立ち寄りました。この建物は名前の通り酒害を防ごうと大正時代、運動を起こした人たちによって建てられた『大正ロマンの香り高き』建物です。
外観からでもオーラを感じさせる存在感で、門を潜るとすぐ階段があるのですが、建物に明かりはなく、一階の聖書を専門に扱う本屋さんも夕方前にはすっかり閉まった喫茶店もてつだって、二階に上がるのをためらったほどでした。ギャラリーの看板など見当たるのですが、やっぱり明かりはなく中庭の光をつたってみると、黒電話やグリーンの革ではられた小さいベンチが並んだ薄暗い廊下は続き、さらに上に上がる階段も見あたって、昔のお屋敷や、今は使われなくなった分校に忍び込んだような印象を受けました。

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何か悪いことをしてる気になり、管理人に叱られそうな気がしたので、『集会場』と札のあるガラスのドアを音立てずにそーっと開けると、西日がガラスごしに部屋を照らしていて、入った時の印象が圧倒的で「この瞬間を見せるためにずっと薄暗く電気もついてなかったのかな、と思ったくらいです。
                
古時計やオルガン、青いベロアのイスが飾られるわけでもなく並んでいて、すべてのモノが古びてはいるんですが、手入れされていて、何十年もの間大切に年を重ねてきたんだなぁと感じました。

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私にとって古く新しい世界は新鮮な気持ちにしてくれる大切な場所になりました。