ここではモノが感じる、人とヒト、人とモノのお話を紹介します。
中崎町にあるケーキショップ、
fait en bonbons
ある日、mono.hairのお客様に「今私がいちばんハマってるお菓子なんです!」と頂いたのがここのカヌレでした。
一口サイズで小さめのカヌレは、外はカリッとして、中はモチモチの食感。次の日には中がしっとりしてくるので、また違う食感が味わえます。このカヌレが本当に美味しくてお客様がハマってるのも頷けるモノで、もっとたくさん食べたいと思いお店に行ってきました。
女性2人が作るこのfait en bonbonsは、マンションの一室という小さなお店です。
何も知らなければそのままマンションを通り過ぎてしまいそうですが、一歩入ると甘い香りに誘われるかのように店内に引き込まれます。
フランス語で、「お菓子を作る」という意味をもつこのお店は、その名の通り可愛くデコレーションされたケーキなどがあり、遊び心あるケーキを見ていると、きっと作っている2人も楽しみながら作っているのだろなぁという想いが伝わり、とても楽しい気分にさせてくれました。
小さいながらのその空間もお二人のこだわりのようなモノも感じさせられ、手作りの可愛いメニュー表やディスプレイされたケーキたちもとても素敵でした。
お目当てのカヌレをたくさん買って帰ろうとしたところ、残念ながらこの日カヌレはご予約分しか無いとのこと。。
すごく美味しかったので、売り切れるのも仕方がないと納得して、違う3種類のケーキを買って帰りました。その他のケーキも甘すぎず、しっとりとした食感がクセになりそうで、いくらでも食べれる気がし、美味しくてとても満足でした。
お店のひっそりとした感じと、どこか手作り感があるモノ。そして可愛くて美味しいケーキたち。
また大切なモノと場所になったそんな気がします。
またいつか僕もちょっとした時に友人や大切な人に、「今いちばんハマっているお菓子なんです!」とfait en bonbonsのケーキをプレゼントしたいなと思います。
岡山県にある倉敷はもともと「蔵屋敷」から名をとったとされ、美観地区と称される地域一帯は、江戸時代に栄えた姿を留めた古きよき街並みです。
大阪からは約1時間。でもそこは全くの別空間でした。
まず向かった宿は、「全てに置いて東町の心ゆきを感じて頂けるでしょう」という言葉にも頷ける、明治時代からある建物は倉敷の町に溶け込んでおり、泊まらせてもらった部屋からは庭園が広がっていて、とても贅沢に過ごせました。
宿を出る時にとてもいい時間を過ごさせてもらったことをお礼を言うと「ぜひまたいってお帰りなさいませ」と見送って頂きました。
美観地区はとてもアートな町でした。日本初の西洋美術館である大原美術館は巨匠とされる芸術家達の作品がたくさん展示され、何より私は、大原美術館の迫力ある門構えに圧倒されました。他にも5分もあれば全体を見て回れるその地域には、昔の姿を残したままの建物が当たり前の様に並んで、そうでないことに少し疑問を感じたくらいです。
帰りには一番のお目当てだった岡山の駅近くにある禁酒会館に立ち寄りました。この建物は名前の通り酒害を防ごうと大正時代、運動を起こした人たちによって建てられた『大正ロマンの香り高き』建物です。
外観からでもオーラを感じさせる存在感で、門を潜るとすぐ階段があるのですが、建物に明かりはなく、一階の聖書を専門に扱う本屋さんも夕方前にはすっかり閉まった喫茶店もてつだって、二階に上がるのをためらったほどでした。ギャラリーの看板など見当たるのですが、やっぱり明かりはなく中庭の光をつたってみると、黒電話やグリーンの革ではられた小さいベンチが並んだ薄暗い廊下は続き、さらに上に上がる階段も見あたって、昔のお屋敷や、今は使われなくなった分校に忍び込んだような印象を受けました。
何か悪いことをしてる気になり、管理人に叱られそうな気がしたので、『集会場』と札のあるガラスのドアを音立てずにそーっと開けると、西日がガラスごしに部屋を照らしていて、入った時の印象が圧倒的で「この瞬間を見せるためにずっと薄暗く電気もついてなかったのかな、と思ったくらいです。
古時計やオルガン、青いベロアのイスが飾られるわけでもなく並んでいて、すべてのモノが古びてはいるんですが、手入れされていて、何十年もの間大切に年を重ねてきたんだなぁと感じました。
私にとって古く新しい世界は新鮮な気持ちにしてくれる大切な場所になりました。